「健康」を育もう。身体の声を聴き、身体を育てよう。

国家資格は判断材料になるのか

【初めに】当HPの内容は全て院長個人の見解である事をご了承下さい。私自身が臨床を通して見てきたモノをお伝えしています。

【患者様からの質問】

Q:「国家資格は判断材料になるのか」

A:「余りならないと思います」

【解説】

国家資格の有無を謳う院、それを参考にする患者様は多いです。それが当たり前だと思います。私もヘルニア患者時代はそうでした。

ですが、今は違います。

これも「ルビンの壺」ケースです。視点1つで全く違う風景が見えてきます。

自費は専門外

結論から言いますと、国家資格者が自費診療で行う業務は一部を除いて「専門外」です。つまり国家資格は何の担保にもなりません。専門外の領域ですから。

実はそれで終わる話なのです。

国家資格があるから安心する、というのは「国家資格の中身を良く知らない」という事実からくる「何となく」な印象なのです。

知る事は大切

この手の話は「角が立つ」ので余りするべきではないと承知していますが「事実を知る」事は患者様にとってもとても大切です。これは私自身の教訓でもあります。

ですので、淡々と事実だけをここでは述べていきます。

国家資格には独占業務がある

国家資格が国家資格足るのは「独占業務」があるからです。その資格に対して国家が独占を許可した「業務」があります。その「独占業務」を行う上での専門知識や技術を担保するものが「国家資格」となります。

国家資格による独占業務はその権利として「保険適用」がなされます。

 

柔道整復師

整骨院/接骨院の先生ですが、その専門領域は「急性期の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」です。

実は慢性化した症状は「国家資格の専門外」なのです。

 

鍼灸師

「はり師」「きゅう師」という資格で鍼灸院の先生です。

国が認めている業務範囲は「神経痛」「リウマチ」「五十肩」「頸肩腕症候群」「腰痛症」「頸椎捻挫後遺症(むち打ち)」となります。

鍼灸は現代病の多くと相性がとても良いと思います。

ただ、保険適用となるのは「医師による適当な治療手段がない場合のみ+医師の同意書がある場合」という特殊な状況となります。

鍼灸保険は少し複雑というか手間ですね。個人的には自費鍼灸でしっかり受けた方が良いと思います。

 

看護師・保健師

看護師さんや保健師さんが整体業を始め、産後骨盤矯正などをされるケースも増えました。

その専門領域は「傷病者、褥婦等の看護と療養上の世話、そして医師による診療補助」となります。

ですので、筋骨格系の施術は国家資格の専門外となります。

 

助産師

助産師さんがマタニティ整体、マタニティヨガ、産後骨盤矯正等に取り組むケースも増えてきました。

その専門業務は「妊娠~出産~育児に至る母子のヘルスケア全般(監督・ケア・助言)」です。とても幅広いです。

ただ、筋骨格系の直接施術については国家資格の専門外となります。

 

作業療法士(OT)

作業療法士の方が整体業を始めるケースも増えました。

この国家資格は日常生活に関わる全ての諸活動を回復、自立させる為のリハビリテーションの専門家です。主に「基本的」「応用的」「社会的」から成る3つの動作能力と適応能力を取り戻していきます。

これは動画で見てもらった方が早いです。

「動画で見る作業療法士の仕事」

間違いなく重要な医療系国家資格ですが、整体業とは畑が違う内容となります。

 

理学療法士(PT)

理学療法士の先生が整体業を開業するケースが本当に増えました。

専門領域は「運動機能の維持・改善」の領域全般です。

理学療法(運動+物理)の専門家ですので、整体業と非常に近い領域の国家資格です。有酸素運動、無酸素運動、ストレッチ、筋力トレーニング、レジスタンストレーニング等、様々な運動療法に精通しています。

個人的には様々な医療系国家資格の中で最も整体業と重なる領域が広い国家資格だと思います。

 

細分化の代償

「医療系国家資格=カラダの事を良くわかっている」という論理展開は簡単です。ですが、実際は「細分化」が進み過ぎており「医療系」だからと安心の担保にはならない状況になっています。

「心療内科の先生は『医師』だからメスを握っても安心」とは誰もならないと思います。

それと同じ事なのです。

ではどうしたらいいのか

医療系国家資格がそこまであてにならないとなると、どうすればいいのか。

「後悔しない選択をする」事です。それに尽きます。

あなたが医療系国家資格の有無、臨床人数の多寡で安心できるならそれを基準に選べば良いのです。ただし、その結果を自分で受け止める事。そこが重要です。

あなた自身が何を求め、誰を選ぶのか。

資格や実績よりも「その人は信頼できるのか」という1点で私は選ぶべきだと思います。