【初めに】当HPの内容は全て院長個人の見解である事をご了承下さい。私自身が臨床を通して見てきたモノをお伝えしています。
この記事は「あくまで可能であれば」という前提で書いています。
杖からは卒業しよう
足が悪くなり歩行困難になってしまった患者様の多くが「杖」や「スティック」を得て「活動範囲が劇的に広がった!」と日常を取り戻されます。
それはQOLの上でも素晴らしい事です。
ですが、それを「ゴール」にして欲しくないのです。可能であれば、できる限りは「二足歩行」を取り戻して頂きたいのです。
それは「健康寿命」を守る上でとても大切な事でもあります。
道具は「歪み」の母でもある
「杖」「スティック」「歩行器」はいわば「椅子」「コルセット」と同じです。衰えた機能を「道具が代替」する事で低下した身体機能を取り戻してくれます。
「椅子は三点支持」を「コルセットは腹圧強化」を担います。
ですが、代償として「補われている部位の筋肉」は衰えていきます。理由は単純で「使わない=不要と判断される」為です。こうなると「椅子」「コルセット」が無くなった時に今度はカラダが困ります。
これは道具のサポート無しではカラダのバランスが維持できなくなっている為です。これが「歪み」を生み出す2大要因の1つ「廃用性委縮」です。
力を肩代わりしてくれる道具は同時に「カラダのバランス」を崩していく「曲者」でもあると覚えておいてください。
「廃用性委縮」が生まれた身体は「運動連鎖」に亀裂が生じ、新たな「歪み」を生み続けるのです。
杖やスティックも同じ
「杖」「スティック」も同じです。2足歩行が困難な状態において「3点(4点)支持」による「支持基底面」の拡張によって歩行動作が劇的に楽になります。
その代償は「重心位置の偏り」or「上半身の固定」です。簡単に言えば「不自然な動きと姿勢」を日常化します。
そして「不自然な状態」で使い続ける事でカラダは「新たな日常」に適応を起こし「廃用性委縮」が始まります。そうなると「それ無しでは歩けない」状態が少しずつ定着していきます。
崩れた日常を守ってくれた道具は同時に「かつての日常」からカラダを遠ざけていく。
頼り過ぎが良くないのは「薬」だけでは無いのです。
頼りながら自立の道を
「杖」や「スティック」による歩行補助は必要であれば遠慮なく活用すべきです。日常生活の質を維持する事はとても大切です。
ですが、同時に「卒業」を意識した取り組みも並行して行いましょう。そちらが本命ですが、そこに取り組む人が極端に少ない。
「杖」も「スティック」も「今を繋ぐ対処療法」と考えるのです。日常生活の「維持」は実現したので次は「卒業」に向けてのステップアップです。
カラダをキチンと整える
卒業の為に何をすべきか。それはとてもシンプルです。
カラダをキチンと使う練習をする
それで十分です。
正しくカラダを使いこなせたとき、膝関節や股関節、そして脊柱への負担は全身に分散されますので痛みが出てくる理由はなくなります。出てきたとしても「寝たら落ち着く」様な一過性の痛みに留まります。
道具要らずのカラダを取り戻しましょう。それがシンプルかつ最強の健康への一本道です。